小泉進次郎の「セクシー発言」はなぜ生まれた?2019年の経緯と引用説の真相を徹底解説
小泉進次郎氏の「気候変動問題はセクシーであるべきだ」という発言は、2019年9月、ニューヨークで開かれた国連関連の会合をきっかけに、日本国内外で大きな話題となりました。環境問題への取り組みを「楽しく、クールで、セクシーに」と表現した言葉は、独特な言い回しとして注目を集める一方、具体的な政策を説明していないという批判も招きました。
ところが、この発言にはもう一つの重要な背景があります。同席していたコスタリカの外交官、クリスティアナ・フィゲレス氏が「セクシー」という言葉を使ったという、小泉氏自身の会見での説明です。国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の元事務局長でもある同氏とのやり取りを踏まえると、発言の意味や引用説の見え方は変わってきます。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 発言の経緯:2019年9月22日、ニューヨークでの記者会見で小泉氏が気候変動対策を「fun」「cool」「sexy」という言葉で表現した。
- 引用説の背景:小泉氏は会見で、同席していたクリスティアナ・フィゲレス氏が「sexy」という表現を付け加えた趣旨の説明をしている。
- 発言の真相:「魅力的に取り組む」という意味合いには根拠がある一方、引用の経緯と政策の具体性は分けて評価する必要がある。
【発言の経緯】小泉進次郎氏は2019年のニューヨークで何を語ったのか
発言が飛び出したのは、2019年9月22日(現地時間)。当時、環境大臣に就任したばかりだった小泉進次郎氏は、国連気候行動サミットに関連する会合に出席するため、米ニューヨークを訪れていました。
同日の記者会見で、気候変動のような大きな課題にどう取り組むべきかという話題になり、小泉氏は英語で次のように述べました。
In politics there are so many issues, sometimes boring. On tackling such a big-scale issue like climate change, it's got to be fun, it's got to be cool. It's got to be sexy too.
趣旨を日本語にすると、「政治には多くの問題があり、ときには退屈なものもある。気候変動のような大きな問題に取り組むなら、楽しく、かっこよく、そしてセクシーでなければならない」という意味です。
この発言は、単に環境問題を性的な魅力にたとえたものではありません。気候変動対策を人々が前向きに参加したくなるような取り組みにする、という解釈が可能な表現でした。ただし、発言の趣旨を問われた際の小泉氏の受け答えも、後の議論を大きく左右しました。
翌23日、日本の報道でも発言が広く取り上げられました。小泉氏は真意を尋ねられ、「それをどういう意味かって説明すること自体がセクシーじゃないよね」「野暮な説明はいらないですね」という趣旨の回答をしたと、衆議院に提出された質問主意書にも記録されています。
記者が求めていたのは、印象的な言葉の説明だけではありません。環境大臣として、気候変動対策をどのように進めるのかという政策上の具体性も問われていました。そのため、言葉の面白さと説明責任の問題が一緒に議論されることになったのです。

【言葉の意味】「セクシー」は性的な意味ではなく「魅力的に」なのか
日本語の「セクシー」は、性的な魅力を連想させる言葉です。一方、英語の「sexy」は、文脈によって、魅力的で人を引きつけるもの、格好よく関心を集めるものといった意味でも使われます。
小泉氏の発言を考えるうえで重要なのは、単語だけを切り取るのではなく、「気候変動のような大きな問題に取り組む」という文脈と合わせて読むことです。ここでは、環境対策を人々が魅力的だと感じ、自発的に参加したくなるものにする、という意味に解釈できます。
この点については、2019年10月15日に政府が閣議決定した答弁書が明確な資料となります。参議院議員の熊谷裕人氏が提出した質問主意書に対し、政府は「sexy」の意味について、文脈によって異なり、ニュアンスを含めた正確な訳出は困難だと説明しました。そのうえで、ロングマン英和辞典の意味として「(考え方が)魅力的な」という用法を挙げています。
同じ答弁書では、小泉氏が発言の意味を説明しなかったことについても、政府は「当該発言が妥当でないとは考えていない」と回答しました。これは発言をめぐる政府の公式見解を示すものですが、個々の政策の効果や発言の説明の十分さまで証明するものではありません。
朝日新聞デジタルマガジン&[and]の上間常正氏による記事「魅力的に感じなければ始まらない 小泉環境相のセクシー発言の意味とは?」も、この「魅力的」という意味合いに注目しています。環境問題を専門家や行政だけの課題にせず、社会の多くの人が自分から関わりたいと思えるものにする。その考え方自体は、言葉の意味を検討するうえで理解できるものです。
ただし、「魅力的な政策にする」という理念と、「実際にどの政策を実施するのか」は別の問題です。言葉の意味が説明できたからといって、気候変動対策の実効性まで担保されるわけではありません。
【引用説・オマージュ説】フィゲレス氏との関係が真相を解く鍵
「小泉進次郎氏のセクシー発言は、本人が突然思いついた言葉だったのか」。この疑問を考える際に欠かせないのが、クリスティアナ・フィゲレス氏の存在です。
フィゲレス氏はコスタリカ出身の外交官で、2010年から2016年まで国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の事務局長を務めました。国連気候変動交渉の中心人物の一人であり、2015年に採択されたパリ協定に至る国際交渉でも重要な役割を果たした人物です。UNFCCCの公式プロフィールでも、その在任期間と経歴が紹介されています。
なお、公式プロフィールでの氏名表記は「Christiana Figueres」、日本語では一般に「クリスティアナ・フィゲレス」とされています。検索では「カレン・クリスティアナ・フィゲレス」という表記も見られますが、UNFCCCの公式プロフィールに基づく呼称はクリスティアナ・フィゲレス氏です。
注目すべきなのは、2019年9月の会見で小泉氏自身が、同席者とのやり取りに触れていたことです。会見での説明として伝えられた内容によると、ある企業関係者が環境問題への取り組みは「楽しい」と述べ、それを受けてフィゲレス氏が「セクシーなことでもある」と付け加えた趣旨を、小泉氏は語っています。
つまり、少なくとも小泉氏の説明では、「sexy」という言葉はフィゲレス氏との会話の文脈に登場していました。この点は、2024年8月28日付のニューズウィーク日本版で冷泉彰彦氏も取り上げており、発言を同席者とのやり取りから切り離して理解することへの疑問を示しています。また、Yahoo!ニュースの安積明子氏による記事「『環境問題はセクシー』と発言した進次郎氏は、『まさか』の坂を転げたのか」も、同席したフィゲレス氏との関係に焦点を当てています。
さらに、フィゲレス氏が気候変動対策を「セクシー」という言葉で表現したのは、2019年が初めてではありません。気候変動関連の講演・発信を紹介する資料には、2012年のリオ+20に関連する場面で「Let's make green sexy(グリーンをセクシーにしよう)」という趣旨の言葉を使った記録もあります。環境に配慮した行動や技術を、魅力的で選びたくなるものにするという考え方は、以前から存在していたのです。
ここから、引用説とオマージュ説を分けて考える必要があります。
引用説には、小泉氏自身が会見でフィゲレス氏の発言に言及したという根拠があります。一方、オマージュ説は、その言葉を意識的に引き継ぎ、国際会議の場で共有した表現として使ったという解釈です。後者については、意図を直接裏付ける別個の証拠と、本人が説明した会話の経緯を区別する必要があります。
したがって、「小泉氏が独力で考案した言葉だった」と断定するのも、「フィゲレス氏の言葉を引用したのだから発言に問題はなかった」と結論づけるのも、どちらも単純化しすぎています。言葉の由来と、政治家としてその言葉をどのように使い、何を説明したかは、別々に検討すべき論点です。

【時系列で整理】セクシー発言から政府答弁までの経緯
発言をめぐる議論は、2019年9月の記者会見だけで終わったわけではありません。国会で質問主意書が提出され、政府が正式な答弁書を閣議決定するまでに発展しました。主な出来事を時系列で整理します。
| 時期 | 出来事 | 確認できる内容・意味 |
|---|---|---|
| 2019年9月22日(現地時間) | ニューヨークで記者会見 | 小泉環境相が、気候変動対策は「fun」「cool」「sexy」であるべきだという趣旨の発言をする。 |
| 2019年9月23日(日本時間) | 国内外で報道・議論が拡大 | 発言の意味に加え、記者からの質問への回答や環境政策の具体性が論点になる。 |
| 2019年10月4日 | 国会に質問主意書を提出 | 衆議院では中谷一馬氏、参議院では熊谷裕人氏が、発言の趣旨や政策上の説明などを取り上げた。 |
| 2019年10月15日 | 政府が答弁書を閣議決定 | 「sexy」には「(考え方が)魅力的な」という意味もあると説明し、発言を妥当でないとは考えていないと回答した。 |
| 2019年11月17日 | 小泉氏が講演で発言の趣旨を説明 | 報道によると、楽しく前向きに取り組みを進めなければならないという思いだったと説明した。 |
この経緯から分かるのは、発言の意味が単なる英語の翻訳問題にとどまらなかったことです。発言直後には、言葉の真意を説明する姿勢が問われました。その後、政府答弁書では辞書的な意味や行政上の見解が示され、11月には小泉氏自身も「前向きに取り組む」という趣旨を説明しています。
一方、衆議院の質問主意書では、石炭火力発電をどのように減らすのかという具体的な政策課題も取り上げられました。小泉氏が「減らす」と述べた一方、方法については環境省の職員らと話し合っている段階だと説明したことが記録されています。
この点は重要です。気候変動対策を魅力的に伝えることと、温室効果ガスの削減に向けた具体策を示すことは、両立させなければならない課題だからです。
【発言の評判】なぜ称賛と批判が分かれたのか
セクシー発言への反応が分かれた背景には、言葉の意味だけでなく、政治家に求められる役割と、国際会議という発信の場の特殊性があります。
肯定的に受け止める側の視点では、気候変動という長期的で複雑な問題を、堅苦しい義務や負担としてだけでなく、魅力的で前向きな社会づくりとして伝えようとした点に意味があります。環境配慮型の商品や技術、再生可能エネルギーへの投資、省エネ行動などを「選びたくなるもの」にするという考え方は、政策を社会に浸透させるうえで一つの方向性になります。
批判的な反応では、聞き慣れない表現を使ったことに加え、意味を問われた際に十分な説明をしなかったことが問題視されました。とりわけ、環境大臣という立場では、印象に残る言葉だけでなく、政策の目標や実施方法について説明する責任があるという指摘です。
当時の海外報道では、日本の石炭火力発電への依存や、温暖化対策の具体性も取り上げられました。つまり、注目を集めたのは「セクシー」という単語だけではありません。気候変動に対して積極的な姿勢を示す一方で、その実現方法をどこまで説明できたのかという問題が、発言の評価に重なっていたのです。
発言への批判と、政策の実績に対する評価も区別する必要があります。言葉選びへの違和感があったとしても、それだけで環境政策全体の成果を判定することはできません。反対に、フィゲレス氏の発言を踏まえた表現だったとしても、それだけで政策の実効性が証明されるわけではありません。
発言の評判を調べる際には、報道された反応を単純な賛否の数に置き換えるより、何が評価され、何が批判されたのかを整理する方が実態を理解しやすくなります。

【プロの結論】セクシー発言の真相を見極める3つの判断基準
小泉進次郎氏のセクシー発言を理解するには、少なくとも三つの視点を持つことが大切です。
第一は、言葉の意味と発言の由来を分けて考えることです。英語の「sexy」には「魅力的な」という意味があり、小泉氏の会見ではフィゲレス氏とのやり取りが説明されました。この経緯を押さえれば、単語だけを取り出した場合とは違う文脈が見えてきます。ただし、言葉の由来が分かることと、発言のすべてが適切だったと判断することは同じではありません。
第二は、発言の印象と政策の具体性を分けることです。「気候変動問題はセクシーであるべきだ」という表現は、環境対策を魅力的なものにするというメッセージとして解釈できます。しかし、実際の政策を評価する際には、削減目標、実施手段、費用負担、進捗状況など、別の資料や説明も確認する必要があります。
第三は、引用説を扱うときに、確認できる事実と解釈を区別することです。フィゲレス氏が以前から環境問題を「セクシー」と表現していたことや、小泉氏が会見で彼女の発言に触れたことは、引用説を考えるうえで重要な材料です。一方、どの程度意識的に言葉を引き継いだのかという意図の部分は、会見での説明と、それを受けた解釈を区別して考えるべきです。
政治家の言葉は、短いフレーズほど広く伝わりやすく、背景にある政策や会話の経緯は後回しになりがちです。小泉氏の発言も、その典型的な事例の一つです。言葉の面白さだけを評価するのでも、言葉の違和感だけで人物全体を判断するのでもなく、発言の背景、説明責任、政策の実態をそれぞれ確認することが、報道を読み解くうえでの基準になります。
【小泉進次郎セクシー】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:小泉進次郎氏のセクシー発言はいつ、どこで生まれたのですか?
A1:2019年9月22日(現地時間)、米ニューヨークで国連気候行動サミットに関連する会合に出席した際の記者会見です。小泉氏は、気候変動のような大きな問題への取り組みは「楽しく、クールで、セクシーであるべきだ」という趣旨を英語で述べました。
Q2:「セクシー」は性的な意味で使われたのですか?
A2:発言の文脈では、「魅力的な」「人を引きつける」といった意味合いで理解できます。2019年10月15日の政府答弁書も、ロングマン英和辞典を引き、「(考え方が)魅力的な」という意味を紹介しています。
Q3:フィゲレス氏の発言を引用したという説は本当ですか?
A3:小泉氏自身が会見で、同席していたクリスティアナ・フィゲレス氏が「セクシー」という表現を付け加えた趣旨の説明をしており、引用説には根拠があります。ただし、発言を意識的なオマージュとして使ったのかという点は、引用の経緯とは分けて考える必要があります。
Q4:発言後、政府はどのように説明しましたか?
A4:2019年10月15日に閣議決定した答弁書で、政府は「sexy」の正確な訳出は文脈によって異なるとしたうえで、「魅力的な」という意味もあると説明しました。また、小泉氏の発言について、妥当でないとは考えていないとの見解を示しました。
Q5:なぜセクシー発言は批判されたのですか?
A5:主な論点は、言葉の意味が分かりにくかったこと、記者から意味を問われた際に十分な説明がなかったこと、そして石炭火力発電の削減など具体的な環境政策の説明が十分ではなかったことです。言葉の由来だけでなく、政治家としての説明責任も議論になりました。
まとめ:小泉進次郎氏のセクシー発言は言葉の由来と政策を分けて考える
小泉進次郎氏の「気候変動問題はセクシーであるべきだ」という発言は、2019年9月のニューヨークでの記者会見から広く知られるようになりました。発言の背景には、国連気候変動枠組条約の元事務局長クリスティアナ・フィゲレス氏とのやり取りがあり、小泉氏自身も会見でその文脈に触れています。
「セクシー」には、気候変動対策を魅力的で、人々が積極的に参加したくなるものにするという解釈が成り立ちます。政府の答弁書も「魅力的な」という意味を示しました。一方、発言直後の説明の仕方や、石炭火力発電の削減などの具体策をめぐって批判が起きたことも、当時の公的記録から確認できます。
引用説を理解することは、発言の背景を正確に把握するうえで役立ちます。しかし、引用だったかどうかだけで発言の評価が決まるわけではありません。言葉の意味、発言に至る経緯、政治家としての説明責任、そして実際の政策を分けて検討することが、この発言の真相を理解するための出発点です。 (出典: 小泉 進次郎 セクシー(Yahoo!ニュース))