ロベルト・クレメンテ賞とは?由来・選考基準・歴代受賞者一覧を2026年最新解説
ロベルト・クレメンテ賞は、メジャーリーグベースボール(MLB)で、優れた人格と社会貢献への取り組みを示す選手をたたえる栄誉ある賞です。打率や本塁打数といった競技成績だけでは測れない、人間性、慈善活動、地域社会への貢献を評価する点に大きな特徴があります。
この賞の歴史は1971年に始まり、当初は「コミッショナー賞」と呼ばれていました。プエルトリコ出身の名選手ロベルト・クレメンテが、1972年12月31日にニカラグアの地震被災者へ救援物資を届ける途中、飛行機事故で命を落としたことを受け、1973年に現在の名称へ改められました。2026年10月23日時点では、2025年の受賞者ムーキー・ベッツに続く、2026年の受賞者発表が控えています。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 賞の創設:1971年にコミッショナー賞として始まり、1973年にロベルト・クレメンテ賞へ改称。
- 選考基準:卓越した人格、地域社会への参加、慈善活動、フィールド内外での積極的な貢献を評価する。
- 最新情報:2025年の受賞者はドジャースのムーキー・ベッツ。2026年の受賞者は10月26日にワールドシリーズ第3戦前に発表・表彰される予定。
【ロベルト・クレメンテ賞とは】MLBが人格と社会貢献をたたえる特別な栄誉
ロベルト・クレメンテ賞(Roberto Clemente Award)は、MLBが毎年、野球界を代表する人間性と社会貢献を示した選手に贈る賞です。米国野球殿堂入りを果たしたロベルト・クレメンテの理念と行動を受け継ぐために設けられています。
MLB公式の賞紹介によると、評価の中心となるのは、卓越した人格、地域社会への関与、慈善活動、そして競技の内外での前向きな貢献です。選手としての成績だけで順位を決めるMVPや首位打者などとは、目的が異なります。
例えば、子どもたちがスポーツに参加できる環境づくり、病気と闘う人々への支援、自然災害の被災者への援助、教育機会の拡大、経済的に恵まれない地域への継続的な支援など、選手が取り組む活動は多岐にわたります。
ここで押さえておきたいのは、単に寄付金の金額が大きければ受賞できるわけではないという点です。地域社会との関係を築き、支援を必要とする人々に継続的に向き合い、野球選手としての立場を社会に還元しているかどうかが、賞の理念を理解するうえで重要になります。
また、ロベルト・クレメンテ賞はプエルトリコ出身の選手だけを対象にした賞ではありません。賞の名称はプエルトリコ出身のクレメンテに由来しますが、受賞対象はMLBの選手全体です。国籍や出身地ではなく、本人の行動と社会への貢献が評価の中心にあります。

【賞の由来と創設年】1971年のコミッショナー賞から1973年の改称へ
ロベルト・クレメンテ賞の由来を理解するには、賞が創設された1971年と、クレメンテが亡くなった1972年末、そして改称された1973年という3つの節目を押さえる必要があります。
MLBは1971年、選手の慈善活動をたたえる賞を「コミッショナー賞(Commissioner's Award)」として創設しました。初代受賞者はウィリー・メイズです。その後、1972年12月31日にクレメンテが事故死したことで、賞の意味合いは大きく変わりました。
| 時期 | 出来事 | 賞の歴史における意味 |
|---|---|---|
| 1971年 | コミッショナー賞として創設 | 慈善活動に取り組むMLB選手を表彰する制度が始まる。初代受賞者はウィリー・メイズ。 |
| 1972年12月31日 | クレメンテが飛行機事故で死亡 | ニカラグアの地震被災者に救援物資を届けようとする途中の悲劇だった。 |
| 1973年 | ロベルト・クレメンテ賞へ改称 | 当時のMLBコミッショナー、ボウイ・キューンのもと、クレメンテの名を冠した賞となる。 |
| 2002年 | ロベルト・クレメンテ・デーを創設 | クレメンテの人道的な功績を毎年振り返る取り組みが始まる。 |
| 2014年 | ポール・コネルコとジミー・ロリンズが受賞 | 同一年に2人が選ばれた例外的な年となった。 |
| 2025年 | ムーキー・ベッツが受賞 | 若年層への支援や地域社会への貢献が評価された。 |
| 2026年10月26日(予定) | ワールドシリーズ第3戦前に表彰 | 2026年の受賞者が発表される予定。 |
クレメンテが向かっていたのは、地震で甚大な被害を受けたニカラグアでした。被災者に届ける救援物資を積んだ飛行機は、プエルトリコ沖で墜落。クレメンテと同乗者4人が亡くなりました。米国野球殿堂博物館の公式略歴にも、この人道支援の旅と事故の経緯が記録されています。
クレメンテは、野球の名選手であるだけでなく、自らの知名度や立場を困っている人々のために役立てようとした人物でした。事故死を受けて賞に彼の名が冠されたのは、単に功績を記念するためだけではありません。野球選手が社会に対して果たせる役割を、後世に伝えるためでもありました。
なお、1971年から1972年までの受賞者も、現在のロベルト・クレメンテ賞の歴代受賞者一覧に含まれています。賞の名称が変わったからといって、1973年以前の受賞記録が別の制度として切り離されているわけではありません。
【ロベルト・クレメンテの功績】プエルトリコ出身の名選手が残したもの
ロベルト・クレメンテは1934年、プエルトリコのカロリーナで生まれました。MLBではピッツバーグ・パイレーツ一筋でプレーし、1955年から1972年までのキャリアを通じて、卓越した打撃と外野守備で球界を代表する選手となりました。
米国野球殿堂博物館の公式記録によると、クレメンテは通算3,000安打を達成し、通算打率は.317。ナショナルリーグの首位打者に4度輝き、1966年にはリーグMVPを獲得しました。右翼手としてはゴールドグラブ賞を12年連続で受賞し、1971年のワールドシリーズでは打率.414を記録してシリーズMVPにも選ばれています。
1973年には、通常の殿堂入りまでの待機期間を免除する特別な選出によって、米国野球殿堂入りを果たしました。ラテンアメリカ出身の選手がMLBで築いた歴史を語るうえでも、その存在は大きな意味を持っています。
しかし、クレメンテの功績は競技成績だけでは語り尽くせません。貧困や災害に苦しむ人々に手を差し伸べようとした姿勢は、彼が現役選手だった時代から知られていました。ニカラグアへの救援活動は、その信念を象徴する出来事です。
現在、毎年9月15日に実施されるロベルト・クレメンテ・デーも、この遺志を受け継ぐ取り組みです。MLBは2002年に同記念日を設け、球場での顕彰や各球団の候補選手の紹介などを通じて、社会貢献の意義を伝えています。パイレーツの選手や受賞候補者らが背番号21を着用できる取り組みも、クレメンテへの敬意を示す象徴的な活動です。
つまり、この賞の本質は、過去の偉大な選手を懐かしむことだけにありません。クレメンテが示した「競技で得た影響力を誰のために使うのか」という問いを、毎年の受賞者を通して現役選手とファンに投げかけているのです。

【歴代受賞者一覧】1971年から2025年までの受賞者を総まとめ
MLB公式の歴代受賞者一覧によると、初代受賞者はウィリー・メイズで、2025年の受賞者はロサンゼルス・ドジャースのムーキー・ベッツです。通常は毎年1人が選ばれますが、2014年はポール・コネルコとジミー・ロリンズの2人が共同受賞しました。
歴代受賞者には、米国野球殿堂入りした名選手も数多く含まれています。デレク・ジーター、アルバート・プホルス、デビッド・オルティス、クレイトン・カーショー、アーロン・ジャッジなど、世代を代表するスター選手が名を連ねています。
1971〜1979年
- 1971年:Willie Mays(ウィリー・メイズ)
- 1972年:Brooks Robinson(ブルックス・ロビンソン)
- 1973年:Al Kaline(アル・ケーライン)
- 1974年:Willie Stargell(ウィリー・スタージェル)
- 1975年:Lou Brock(ルー・ブロック)
- 1976年:Pete Rose(ピート・ローズ)
- 1977年:Rod Carew(ロッド・カルー)
- 1978年:Greg Luzinski(グレッグ・ルジンスキー)
- 1979年:Andre Thornton(アンドレ・ソーントン)
1980〜1989年
- 1980年:Phil Niekro(フィル・ニークロ)
- 1981年:Steve Garvey(スティーブ・ガービー)
- 1982年:Ken Singleton(ケン・シングルトン)
- 1983年:Cecil Cooper(セシル・クーパー)
- 1984年:Ron Guidry(ロン・ギドリー)
- 1985年:Don Baylor(ドン・ベイラー)
- 1986年:Garry Maddox(ギャリー・マドックス)
- 1987年:Rick Sutcliffe(リック・サトクリフ)
- 1988年:Dale Murphy(デール・マーフィー)
- 1989年:Gary Carter(ゲーリー・カーター)
1990〜1999年
- 1990年:Dave Stewart(デーブ・スチュワート)
- 1991年:Harold Reynolds(ハロルド・レイノルズ)
- 1992年:Cal Ripken Jr.(カル・リプケン・ジュニア)
- 1993年:Barry Larkin(バリー・ラーキン)
- 1994年:Dave Winfield(デーブ・ウィンフィールド)
- 1995年:Ozzie Smith(オジー・スミス)
- 1996年:Kirby Puckett(カービー・パケット)
- 1997年:Eric Davis(エリック・デービス)
- 1998年:Sammy Sosa(サミー・ソーサ)
- 1999年:Tony Gwynn(トニー・グウィン)
2000〜2009年
- 2000年:Al Leiter(アル・ライター)
- 2001年:Curt Schilling(カート・シリング)
- 2002年:Jim Thome(ジム・トーミ)
- 2003年:Jamie Moyer(ジェイミー・モイヤー)
- 2004年:Edgar Martinez(エドガー・マルティネス)
- 2005年:John Smoltz(ジョン・スモルツ)
- 2006年:Carlos Delgado(カルロス・デルガド)
- 2007年:Craig Biggio(クレイグ・ビジオ)
- 2008年:Albert Pujols(アルバート・プホルス)
- 2009年:Derek Jeter(デレク・ジーター)
2010〜2019年
- 2010年:Tim Wakefield(ティム・ウェイクフィールド)
- 2011年:David Ortiz(デビッド・オルティス)
- 2012年:Clayton Kershaw(クレイトン・カーショー)
- 2013年:Carlos Beltrán(カルロス・ベルトラン)
- 2014年:Paul Konerko(ポール・コネルコ)、Jimmy Rollins(ジミー・ロリンズ)
- 2015年:Andrew McCutchen(アンドリュー・マカッチェン)
- 2016年:Curtis Granderson(カーティス・グランダーソン)
- 2017年:Anthony Rizzo(アンソニー・リゾ)
- 2018年:Yadier Molina(ヤディアー・モリーナ)
- 2019年:Carlos Carrasco(カルロス・カラスコ)
2020〜2025年
- 2020年:Adam Wainwright(アダム・ウェインライト)
- 2021年:Nelson Cruz(ネルソン・クルーズ)
- 2022年:Justin Turner(ジャスティン・ターナー)
- 2023年:Aaron Judge(アーロン・ジャッジ)
- 2024年:Salvador Perez(サルバドール・ペレス)
- 2025年:Mookie Betts(ムーキー・ベッツ)
2025年のムーキー・ベッツは、ロサンゼルスとナッシュビルの若者を支援する「5050 Foundation」の活動などが評価されました。MLB公式の受賞発表によると、同財団は身体的な健康、心の健康、栄養、金融リテラシーを柱に、若者が将来の可能性を広げるための取り組みを行っています。さらに、ロサンゼルス地域の山火事被災者への支援や、食料不足・ホームレス問題に取り組む団体への寄付なども実施しました。
この受賞例から分かるのは、社会貢献の形が一つではないということです。災害時の緊急支援だけでなく、子どもの教育、健康、スポーツ環境の整備といった長期的な活動も、クレメンテの理念を現代に受け継ぐものとして評価されています。
【選考基準と2026年最新情報】受賞者はどう決まり、誰が候補なのか
ロベルト・クレメンテ賞の選考は、各球団による推薦から始まります。MLBの30球団がそれぞれ1人の選手を候補に選び、その計30人からリーグ全体の受賞者が決定されます。候補選手は毎年9月のロベルト・クレメンテ・デーに合わせて発表され、最終的な受賞者はワールドシリーズ期間中に表彰される仕組みです。
MLB公式が示す主な評価軸は、次の4点です。
- 人格:競技の内外で、周囲から信頼される行動を示しているか。
- 地域社会への参加:地元の人々や支援を必要とするコミュニティーと関わっているか。
- 慈善活動:寄付、基金、教育支援、医療支援、災害支援などに取り組んでいるか。
- 野球界への積極的な貢献:選手としての影響力を活用し、社会に良い変化をもたらしているか。
選考にあたっては、ファン投票も取り入れられています。ただし、ファン投票だけで受賞者が決まるわけではありません。2026年の制度では、ファン投票の結果は、コミッショナー事務局、スポンサーのCapital One、MLB関連ネットワーク、MLB.com、米国野球殿堂博物館、クレメンテの子どもたちなどで構成される選考パネルの票に加算される仕組みです。
2026年は9月14日に30人の候補が発表されました。MLB公式発表では、そのうち14人が初めての候補入りで、7人が同年のオールスター選出選手です。候補者の活動分野には、子どもや若者への教育・スポーツ支援、病気と闘う人々への支援、災害復興、支援が行き届きにくい地域への取り組みなどが含まれます。
2026年の候補には、コービン・キャロル、ジョシュ・ヘイダー、ジョージ・スプリンガー、クリスチャン・イエリッチ、フランシスコ・リンドーア、ピート・アロンソ、カイル・シュワーバー、ジャスティン・バーランダー、ボビー・ウィット・ジュニア、フリオ・ロドリゲスらが名を連ねています。
MLB公式の2026年候補発表によると、30人の候補には次の選手も含まれています。
- ア・リーグ東地区など:ザック・ネト、ジョージ・スプリンガー、ピート・アロンソ、セドリック・マリンズ、カルロス・ロドン
- 中地区など:ジョシュ・ヘイダー、クリスチャン・イエリッチ、ダンズビー・スワンソン、ボビー・ウィット・ジュニア、ジャスティン・バーランダー
- 西地区など:コービン・キャロル、ウィル・スミス、ローガン・ウェブ、フリオ・ロドリゲス、カイル・フリーランド
2026年のファン投票は、レギュラーシーズン最終日の9月27日まで実施されました。受賞者はMLB公式の日程で10月26日、ワールドシリーズ第3戦前に発表・表彰される予定です。したがって、2026年10月23日時点では、2025年の受賞者ムーキー・ベッツが直近の受賞者であり、2026年の候補者と受賞者を混同しないことが大切です。
なお、選考基準について、打率や本塁打のような一律の数値基準で候補を順位づけする仕組みは、MLBの公式説明では示されていません。選手の社会貢献を評価する賞である以上、活動の内容や継続性、支援先との関係、選手本人の姿勢などを含めて理解する必要があります。

【ロベルト・クレメンテ賞】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ロベルト・クレメンテ賞は何を評価する賞ですか? A1:MLB選手の卓越した人格、地域社会への参加、慈善活動、競技の内外での積極的な貢献を評価する賞です。打撃成績や投球成績だけで決まるものではありません。
Q2:ロベルト・クレメンテ賞はいつ創設されましたか? A2:1971年に「コミッショナー賞」として創設され、クレメンテが1972年12月31日にニカラグアへの救援活動に向かう途中で事故死したことを受け、1973年に現在の名称へ改称されました。
Q3:ロベルト・クレメンテ賞の歴代受賞者で、最も新しい受賞者は誰ですか? A3:2026年10月23日時点では、2025年の受賞者であるロサンゼルス・ドジャースのムーキー・ベッツです。2026年の受賞者は10月26日にワールドシリーズ第3戦前に発表・表彰される予定です。
まとめ:【プロの結論】ロベルト・クレメンテ賞が野球界に問い続けるもの
ロベルト・クレメンテ賞は、1971年にコミッショナー賞として創設され、1973年にクレメンテの名を冠する賞へと改称されました。その背景には、偉大な野球選手が、自らの名声や影響力を困っている人々のために使おうとした姿勢があります。
歴代受賞者には、ウィリー・メイズ、デレク・ジーター、アルバート・プホルス、クレイトン・カーショー、アーロン・ジャッジ、ムーキー・ベッツなど、球史に残るスターが並びます。しかし、この賞の核心は、スター選手であること自体ではなく、野球を通じて得た力をどのように社会へ還元しているかにあります。
受賞者や候補者を調べる際は、単に名前や受賞年を確認するだけでなく、具体的な活動内容、支援を受ける人々、取り組みの継続性にも目を向けると、賞の意義がより明確になります。また、2026年の候補者と受賞者の区別や、2014年に2人が共同受賞したという例外も、歴代記録を正確に読むためのポイントです。
野球の価値は、記録や優勝回数だけで決まるものではありません。ロベルト・クレメンテ賞は、選手が社会の一員として何を残せるのかを問い続ける賞です。2026年の受賞者が誰になるかという関心とともに、その選手がどのような人々を支え、どのような変化を生み出してきたのかにも注目したいところです。
参考資料:MLB公式のロベルト・クレメンテ賞紹介・歴代受賞者一覧・2026年候補発表・2026年賞発表日程、米国野球殿堂博物館のロベルト・クレメンテ公式略歴。 (出典: ロベルト クレメンテ 賞(Yahoo!ニュース))