グリコ森永事件の子供の声は誰?実際の音声・4人目の真相と『罪の声』の違いを徹底解説

目次
グリコ森永事件の子供の声は誰?実際の音声・4人目の真相と『罪の声』の違いを徹底解説
グリコ森永事件の子供の声は誰?実際の音声・4人目の真相と『罪の声』の違いを徹底解説
@ creator • Click to Play Video Inline
🎵 グリコ森永事件の子供の声は誰?実際の音声・4人目の真相と『罪の声』の違いを徹底解説

1984年に発生したグリコ・森永事件では、犯人グループが企業への脅迫電話に子供の声を録音したテープを使用した。その不気味な音声は、事件が未解決のまま時効を迎えた現在も、多くの人々の関心を集めている。とりわけ、森永製菓への電話で流れた男児の声、警察が公開した女児らしき声と男児の声、そして報道で取り上げられた「4人目の子どもの声」は、犯人グループの実態を考えるうえで重要な手掛かりだ。

2026年現在、音声分析によって声の年齢や別人である可能性について新たな見方が示されている一方、声の主の実名や事件への関与が公的に確定したわけではない。2011年のNHKスペシャル、2020年の文春オンラインによる検証報道、そして塩田武士の小説・映画『罪の声』を手掛かりに、実際の音声と創作の境界線を整理する。

📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
  • 要点1:1984年に公開された脅迫電話の録音は3本。従来の分析と後年の再鑑定では、声の年齢や話者の人数について見解に違いがある。
  • 要点2:「4人目の子どもの声」は未公開テープに関する証言に基づく報道で、テープ自体は見つからず、音声鑑定による確認もできていない。
  • 要点3:『罪の声』は実際の事件を題材にしたフィクション。曽根俊也のような声の当事者や物語で描かれる事件の真相は、実際の捜査で確定した事実ではない。

【事件の核心】グリコ森永事件で子供の声が使われた背景とは

グリコ・森永事件は、1984年3月の江崎グリコ社長誘拐事件を発端とし、森永製菓など複数の食品企業への脅迫や毒入り菓子事件へと広がった一連の犯罪だ。犯人グループは「かい人21面相」を名乗り、企業だけでなく報道機関にも挑戦状を送りつけ、世間の注目を集めた。

警察庁の昭和60年警察白書は、企業への執拗な脅迫、毒入り菓子による危害の予告、報道機関を利用した犯行の特徴を記録している。犯人側は金銭を要求するだけでなく、警察の捜査を挑発し、社会全体に不安を広げる手法を繰り返した。

その中でも異様だったのが、脅迫電話に子供の声を録音したテープが使われたことだ。大人の犯罪者が直接電話で話すのではなく、録音済みの子供の声で指示を伝える。この手法は、犯人の正体を隠す仕組みであると同時に、事件の不気味さを強く印象づけた。

ただし、子供の声を使った理由について、犯人グループの内部事情や明確な説明が公的に確認されているわけではない。録音を使えば、本人が電話口で話す必要がなく、同じ内容を繰り返し再生できる。声の特徴から犯人を絞り込まれる危険を減らす効果も考えられるが、これらは手口から推測できる利点であって、犯人の動機が確定したことを意味しない。

当時のメディア報道・掲載写真
【検証資料 1】当時のメディア報道・掲載写真(出典:i.ytimg.com)

【実際の音声】女児の声・男児の声は誰なのか?

グリコ森永事件の子供の声を調べるうえで、まず押さえたいのが、警察が公開した3本の脅迫電話の録音だ。文春オンラインが2020年10月30日に掲載したNHKスペシャル取材班の記事では、科学警察研究所OBの鈴木松美氏による再鑑定の結果が紹介されている。

当初、グリコへの脅迫に使われた音声は30代から40代の女性、森永製菓とハウス食品への脅迫に使われた2本は同じ男児の声と分析されていた。しかし、後年の再鑑定では、女性とされた声は10代半ばの少女、男児とされた2本はそれぞれ別人の声である可能性が示された。

この分析に従えば、公開された3本の録音には、少なくとも3人の子供の声が含まれていたことになる。ただし、これは音声鑑定による話者の推定であり、個人の氏名や事件への関与が特定されたという意味ではない。

各録音について、報道で確認できる情報をまとめると次のようになる。

時期音声の内容・対象確認できること
1984年4月24日江崎グリコ監査役宅への電話で使われた少女らしき声従来は成人女性と分析されていたが、後年の再鑑定では10代半ばの少女と推定された。
1984年9月18日森永製菓関西本部への電話で流れた男児らしき声現金の受け渡し場所を指示する録音。後年の再鑑定では、もう1本の男児の声とは別人とされた。
1984年11月14日ハウス食品工業北大阪出張所への電話で使われた男児らしき声森永製菓の録音と同一人物とされていたが、再鑑定では別人の可能性が示された。
丸大食品への脅迫に関連するとされる未公開テープ背景に子供たちの声が入っていたとされる録音「4人目」の存在に関する報道があるが、テープが見つからず、鑑定による確認には至っていない。

森永製菓への電話があった1984年9月18日は、事件を調べるうえで特に重要な日付だ。報道や事件記録によると、録音は現金の受け渡し場所を指示する内容で、同じ音声が5回繰り返し再生された。その後、指示された場所で捜査が行われたものの、犯人側は姿を現さなかった。

この事例からわかるのは、電話口で子供が直接会話をしていたのではなく、録音された音声が犯行の手段として利用されていたという点だ。実際の音声を聞いても、声の主の名前や生活環境、犯人グループとの関係までは判別できない。

つまり、「女児の声」「男児の声」という分類と、「誰が録音に協力させられたのか」という人物特定は別の問題なのである。

【4人目の子どもの声】NHKスペシャルで放送できなかった真相

グリコ森永事件の音声をめぐる議論で、特に注目されているのが「4人目の子どもの声」だ。この話題を詳しく紹介したのが、文春オンラインに2020年10月30日に掲載された記事「Nスペで放送できなかった『4人目の子どもの声』」である。

同記事によると、NHKスペシャルの取材班は、当時の捜査に深く関わった警察関係者から、丸大食品への脅迫に関連する未公開テープの存在について情報を得ていた。その録音には、言葉を発する男児らしき声のほか、背景で「ワー」という声や、子供たちがふざけ合うような「キャッキャッ」という声が入っていたとされる。

当時の関係者の一部は、声の主について言語障害などの可能性を考えていたという。一方、別の捜査員からは、障害ではなく、まだ文字を十分に読めない幼い子供だった可能性や、口に何かを挟んで話していた可能性も指摘された。

重要なのは、これらが未公開テープに関する関係者の証言や推測であることだ。問題の録音そのものは行方がわからず、再鑑定を実施できなかった。取材班は、証言だけでは「4人目」の存在を裏づける決め手に欠けると判断し、放送直前に番組への採用を取りやめたと報じられている。

したがって、「4人目の子どもの声」は、実際に存在が確定した第4の話者を指す言葉ではない。未公開テープに関する報道上の呼称であり、公開済みの3本の録音から推定された話者とは、証拠の性質が異なる。

また、取材班が子供たちのいた可能性がある場所について調査した際も、事件との関係を裏づける確かな証言は得られなかったと同記事は伝えている。子供が複数関与した可能性は議論の対象になっているものの、具体的な人物や施設を犯行に結びつけることはできない。

2011年7月29日と30日に放送されたNHKスペシャル「未解決事件 File.01 グリコ・森永事件」は、取材メモや警察資料、専門家による音声分析をもとに事件を検証した番組だった。文春オンラインの記事は、その取材過程で浮かんだ新たな可能性と、裏づけ不足によって放送に至らなかった情報を紹介したものだ。番組で放送されなかったこと自体が、4人目の存在を証明するわけではない。

活動歴および当時の関連ビジュアル記録
【検証資料 2】活動歴および当時の関連ビジュアル記録(出典:d2h32uqfx679su.cloudfront.net)

【昭和53年テープの男】事件の6年前に届いた録音との関係

子供の声とは別に、グリコ森永事件を語る際に登場するのが「昭和53年テープの男」だ。これは、事件が本格化する約6年前の1978年、江崎グリコの関係者宛てに送られたとされる録音に由来する呼び名である。

このテープには成人男性の声が収録されており、グリコ側に金銭的な要求を連想させる内容を伝えていたとされる。1993年12月のNHK報道で音声の一部が公開されたとする記録もあり、後年の事件との類似性から関心を集めてきた。

ただし、昭和53年テープの男性と、1984年以降の脅迫に関わった人物が同一人物であると確認されたわけではない。また、昭和53年テープに子供の声が収録されていたという話でもない。成人男性の録音と、後年の脅迫電話に使われた女児・男児らしき声は、区別して考える必要がある。

事件の前史として興味深いのは、グリコが1984年の一連の事件より前にも、脅迫めいた録音を受け取っていたとされる点だ。しかし、手口や企業名が共通していることだけで、同一犯や組織的なつながりを証明することはできない。

「昭和53年テープの男」の正体をめぐっては、声の特徴や録音環境、自称する経歴などからさまざまな推測が行われている。しかし、こうした分析から浮かぶ人物像と、捜査によって身元が確定した人物とは別物だ。グリコ森永事件の子供の声を調べる際にも、この区別を忘れてはならない。

【なぜ子供の声を使ったのか】犯人グループの狙いを検証

子供の声を使った理由は、事件の中でも特に気になる点だ。大人が自分の声で脅迫すれば、声の特徴や話し方が捜査の手掛かりになる可能性がある。それを避けるため、録音済みの音声を電話で流したという見方には、手口上の合理性がある。

さらに、録音であれば、必要な文章を一定の調子で繰り返し伝えられる。電話の相手と会話をする必要もなく、受け手から質問されても、その場で声を変えたり言い直したりする必要がない。1984年9月18日の森永製菓への電話で、同じ録音が5回繰り返されたという経緯は、録音を利用する実務的な利点を示している。

一方、子供の声と脅迫という組み合わせには、聞く側に強い違和感や不安を抱かせる効果も考えられる。無邪気さを連想させる声が、金銭の要求や危害の予告を伝える。その落差が事件の異様さを際立たせ、犯人グループの存在を社会に強く印象づけた可能性がある。

ただし、これらの効果を犯人が意図的に狙ったと断定できる証拠はない。犯人グループが子供の声を選んだ理由について、本人たちの説明や確定的な記録が公に示されていない以上、実務上の利点と心理的な効果を分けて考える必要がある。

また、声の主が自発的に録音へ協力したのか、事情を理解しないまま録音に参加したのか、あるいは何らかの圧力を受けたのかも、公開情報からは判断できない。声が録音に使われたという事実だけで、子供自身が犯罪の全容を知っていたと考えることはできないのである。

公の場での発言・インタビュー報道記録
【検証資料 3】公の場での発言・インタビュー報道記録(出典:文春オンライン)

【罪の声との違い】曽根俊也は実在するのか?

グリコ森永事件の子供の声をめぐる関心を広げた作品の一つが、塩田武士の小説『罪の声』と、それを原作とする映画だ。小説は2016年に刊行され、映画は2020年10月30日に公開された。

講談社の書籍紹介によると、物語の主人公である曽根俊也は京都でテーラーを営む男性。父の遺品からカセットテープとノートを見つけ、自分の幼少期の声が、かつて世間を騒がせた未解決事件の脅迫音声に使われていたことに気づく。新聞記者の阿久津英士とともに、過去の事件に隠された真相を追う物語だ。

作中では、実際のグリコ森永事件を想起させる出来事が「ギンガ萬堂事件」として描かれている。塩田武士が大学時代にグリコ森永事件の関連書籍を読み、脅迫電話に子供の声が使われた事実に関心を持ったことが、執筆の出発点になったと紹介されている。

では、実話との違いはどこにあるのか。最大の違いは、現実の事件では特定されていない声の主や犯人グループの関係を、作品では登場人物の人生と結びつけ、物語として描いている点だ。

曽根俊也や阿久津英士は小説の登場人物であり、実際の事件で声の主が曽根俊也だったと確認されたわけではない。作中で描かれる人物の過去や家族関係、犯行に至る経緯、事件の真相も、実際の捜査で確定した事実ではない。

一方、企業への脅迫に録音された子供の声が使われたことや、犯人グループが報道機関を挑発しながら事件を展開させたことなど、物語の着想につながった部分には現実の事件との接点がある。

『罪の声』の魅力は、未解決事件の犯人を推理するだけでなく、何も知らずに録音へ関わったかもしれない子供が、その後の人生でどのような影響を受けるのかを描いた点にある。ただし、その問いへの作品内の答えを、実際の声の主の現在や人生にそのまま当てはめることはできない。

【プロの結論】2026年現在、子供の声の主は特定されているのか

2026年現在、公開されている資料や報道からは、脅迫電話に使われた子供の声の主について、氏名や事件への関与が公的に確定したとはいえない。音声分析によって、従来の見立てが見直されたことは重要だが、声の特徴から人物の身元を確定することは別の段階にある。

文春オンラインが紹介した再鑑定では、公開済みの3本の録音について、少女と2人の男児という、少なくとも3人の子供の声が含まれる可能性が示された。一方、「4人目の子どもの声」は未公開テープに関する証言であり、音声そのものを使った確認ができていない。両者を同じ確度の情報として扱うことはできない。

また、事件の全容が解明されないまま、2000年2月までに一連の事件はすべて公訴時効を迎えた。警察庁の平成12年警察白書も、グリコ森永事件について、すべての事件が同月までに時効となったことを記録している。

声の主が現在どう暮らしているのかについても、個人を特定できる確かな公表情報はない。仮に当時の声が子供のものだったとすれば、現在は成人している計算になるが、それだけで現在の年齢、職業、居住地、事件についての記憶や認識を判断することはできない。

事件の音声を調べる際は、次の3点を判断基準にすると、報道と推測を混同しにくくなる。

  • 音声の分析結果:声の年齢や話者の違いについて、誰がどの資料を分析し、どのような結果を示したのか。
  • 人物の特定:声の特徴に関する推定だけでなく、実名や事件への関与を裏づける証拠があるのか。
  • 未公開情報の扱い:証言や推測にとどまる情報なのか、それとも録音や公的記録によって検証できるのか。

特に注意したいのは、「声の主が特定された」という見出しと、「音声分析によって声の年齢や話者の人数に新しい見方が示された」という事実の違いだ。音声分析の進歩によって事件の理解が深まることはあっても、それだけで未解決事件のすべての謎が解けるわけではない。

【グリコ森永事件子供の声】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:グリコ森永事件の子供の声は誰なのですか?
A1:公開された3本の脅迫電話の録音については、後年の音声鑑定で、少女と2人の男児という別々の話者である可能性が示されている。しかし、氏名や事件への関与が公的に確定したわけではない。

Q2:4人目の子どもの声は実際に存在したのですか?
A2:文春オンラインの2020年の記事では、丸大食品への脅迫に関連する未公開テープについて、背景に別の子供たちの声が入っていたという関係者の証言が紹介された。ただし、テープは行方不明で、音声鑑定による確認もできていないため、4人目の存在が確定したとはいえない。

Q3:『罪の声』の曽根俊也は実在する人物ですか?
A3:曽根俊也は塩田武士の小説『罪の声』に登場する架空の人物だ。実際のグリコ森永事件で、彼に相当する人物が脅迫音声の主だったと確認された事実はない。作品は現実の事件を着想源としているが、人物の設定や事件の真相はフィクションである。

まとめ:子供の声が残した謎と、未解決事件を読み解く視点

グリコ森永事件の子供の声は、単に犯人の正体を探るための手掛かりではない。録音された声が脅迫という犯罪に使われた事実、後年の分析で話者の人数や年齢に新しい見方が示されたこと、そして「4人目の子どもの声」をめぐる未解決の疑問が、事件の複雑さを物語っている。

1984年9月18日に森永製菓への電話で流れた男児の録音は、実際の事件を象徴する音声の一つだ。2011年のNHKスペシャルと、2020年の文春オンラインによる取材報道は、当時の捜査や音声分析を振り返り、従来の見方を再検討する材料を提供した。一方、昭和53年テープの男性と犯人グループの関係、未公開テープに関する「4人目」の存在、声の主の現在については、確定した結論に至っていない。

『罪の声』は、こうした現実の謎から生まれた問いを、子供の人生という視点から描き直した作品だ。作品の物語と実際の事件を区別し、音声鑑定の結果と人物特定を混同せず、証拠の確かさに目を向ける。その姿勢こそ、40年以上にわたって人々の関心を集め続けるグリコ森永事件の子供の声を理解するための、最も確かな出発点となる。 (出典: グリコ 森永 事件 子供 の 声(Yahoo!ニュース))

グリコ森永事件子供の声
グリコ森永事件子供の声
グリコ森永事件子供の声