ワールドカップトロフィーの正式名称・値段は?本物の持ち帰りと盗難事件を徹底解説
2026年10月現在、FIFAワールドカップで優勝チームが掲げる黄金のトロフィーには、意外と知られていない秘密がある。正式名称は何なのか、18金でできた本体はいくらするのか、優勝国は本物を自国へ持ち帰れるのか。そして、かつてブラジルが永久保持した初代トロフィーは、なぜ盗難事件に巻き込まれたのか。
2026年7月19日の決勝では、スペインがアルゼンチンを延長戦の末に1対0で破り、世界王者に輝いた。選手たちが掲げた黄金のトロフィーは、実は大会後も優勝国が自由に所有できるものではない。FIFAが管理する原本と、優勝国に贈られる別のトロフィーが存在するためだ。FIFA公式資料やFIFAミュージアムの歴史資料をもとに、名称、値段、素材、歴代の変遷、盗難事件の真相、現在の保管ルールまで整理する。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 正式名称: 現在のトロフィーは「FIFAワールドカップトロフィー」。初代のジュール・リメ・トロフィーとは別物。
- 値段と所有権: 高さ36.8cm、重さ6.175kg、18金製。原本はFIFAが所有し、優勝国には金メッキ仕様の大会別トロフィーが贈られる。
- 歴史と盗難事件: ブラジルは1970年に初代を永久保持したが、1983年に盗難被害に遭い、原本は現在も発見されていない。
【正式名称・値段・素材】ワールドカップトロフィーの基本情報
正式名称は「FIFAワールドカップトロフィー」
現在のトロフィーの正式な英語名称は、FIFA World Cup Trophy。日本語では「FIFAワールドカップトロフィー」と呼ばれる。
1930年の第1回大会から1970年大会まで使われた「ジュール・リメ・トロフィー」と混同されがちだが、両者はデザインも歴史も異なる。現在のトロフィーが初めて授与されたのは1974年の西ドイツ大会だ。
イタリアの彫刻家シルビオ・ガッザニガがデザインした現行トロフィーは、地球を掲げる2人の人物を表現している。サッカーが世界を結び、頂点に立った選手たちが勝利を祝う姿を象徴するデザインだ。
FIFAによると、新しいトロフィーのデザイン案には7か国から53案が寄せられ、その中からガッザニガの作品が選ばれた。初代の伝統を引き継ぎながら、世界大会にふさわしい新たな象徴として誕生したのである。
素材と重さは?18金製のトロフィー
現行トロフィーの公式仕様
高さ36.8cm・18金製
台座には緑色の半貴石マラカイトが使われている。
高さ
素材
初授与
FIFAの公式資料では、本体は18金製で、重さは6.175kg、高さは36.8cmとされている。18金とは、金の純度が75%の合金を指す。純金だけでできているわけではなく、台座部分にはマラカイトが使われている。
なお、FIFAの過去の資料には重さを6.142kgと記したものもある。現在の仕様を紹介する際は、FIFAが別途公表している6.175kgという数値と、古い資料の数値を区別する必要がある。
ワールドカップトロフィーの値段はいくら?
結論からいえば、原本に公式の販売価格は設定されておらず、一般向けに売買される商品でもない。
価格を考えるときは、次の3つを分ける必要がある。
- 金の素材価値: 金相場によって変動する。LSEG Metals Researchは2026年6月、トロフィーに含まれる金の価値を約71万3,000米ドルと試算した。
- 報道などで語られる推定価値: 2,000万米ドル前後という数字も見られるが、FIFAが公表した正式な査定価格ではない。
- 歴史的・文化的価値: ワールドカップの優勝を象徴する唯一無二の原本であり、素材価格だけでは評価できない。
つまり、「ワールドカップトロフィーは約2,000万ドル」という数字を、公式価格や実際の売買価格として受け取るのは正確ではない。素材価値と、歴史や希少性を含めた推定評価額は別物だ。
出典:FIFA公式資料、LSEG Metals Researchの2026年6月の分析。
【歴代トロフィーの違い】ジュール・リメ・トロフィーから現在まで
ワールドカップトロフィーの歴史を理解するうえで欠かせないのが、初代と現行モデルの違いだ。
初代は、FIFA会長としてワールドカップ創設を推進したジュール・リメの功績をたたえ、1946年に彼の名前が付けられた。フランスの彫刻家アベル・ラフルールが制作し、翼のある勝利の女神が八角形の杯を支えるデザインだった。
一方、現行モデルは地球を掲げる人物像を中心とした造形で、世界規模の大会という性格をより強く表している。
2つのトロフィーを比較
現行トロフィーの歴代優勝国
1974年から2026年まで、現行トロフィーが授与された大会の優勝国を時系列で並べると、次のとおりだ。
- 1974年:西ドイツ
- 1978年:アルゼンチン
- 1982年:イタリア
- 1986年:アルゼンチン
- 1990年:西ドイツ
- 1994年:ブラジル
- 1998年:フランス
- 2002年:ブラジル
- 2006年:イタリア
- 2010年:スペイン
- 2014年:ドイツ
- 2018年:フランス
- 2022年:アルゼンチン
- 2026年:スペイン
現行トロフィーの最初の優勝国は、1974年大会を制した西ドイツだった。2026年大会ではスペインがアルゼンチンを破り、2010年以来2度目の世界王者となった。
ここで注意したいのは、1930年から1970年までの優勝国の歴史と、現行トロフィーの授与記録は同じではないという点だ。1930~1970年の優勝を記録する初代の歴史と、1974年以降の現行トロフィーの記録は、分けて整理する必要がある。
出典:FIFA公式のトロフィー史・歴代優勝記録。
【なぜブラジルが永久保持?】優勝国が本物を持ち帰れない理由
「ワールドカップで優勝した国がトロフィーを持ち帰れる」というイメージは間違いではない。ただし、現在の制度では、優勝国が手元に残せるトロフィーと、決勝の表彰式で掲げる原本は別のものだ。
ブラジルが初代トロフィーを永久保持した理由
初代のジュール・リメ・トロフィーには、ワールドカップで3回優勝した国がトロフィーを永久保持できるという当時の規定があった。
ブラジルは1958年、1962年、1970年に優勝し、1970年のメキシコ大会で3度目の世界制覇を達成した。これによって規定の条件を満たし、初代トロフィーを永久保持する権利を得たのである。
この特例は初代に適用された制度だ。ブラジルが特別に現在のトロフィーまで所有できるようになったわけではない。
FIFAは初代の永久保持が決まったあと、新しいトロフィーの制作を進め、1974年大会から現行モデルを採用した。ここが、現在の所有権ルールにつながる大きな転換点だった。
現在の本物は誰のもの?
現行トロフィーの原本は、優勝国に永久譲渡されない。所有・管理するのはFIFAであり、優勝国が原本を手にするのは、原則として決勝後の表彰式などの限られた機会だ。
FIFAの現行ルールでは、優勝チームが原本を掲げたあと、原本はFIFA側へ戻される。優勝国には別途、金メッキ仕様の「FIFAワールドカップ・ウィナーズトロフィー(FIFA World Cup Winner's Trophy)」が贈られる。
優勝国が永久保持できるのは、こちらの大会別トロフィーだ。大会の年、開催国、優勝国の名前などが刻まれ、優勝の記念として保管される。
したがって、次のように整理できる。
- 原本のFIFAワールドカップトロフィー: FIFAが所有・管理する。
- 大会別のウィナーズトロフィー: 優勝国が記念として保持する。
- 優勝セレモニー: 原本が登場し、その後にFIFA側へ戻される。
「優勝したのだから、本物を国へ持ち帰って自由に展示できる」という認識は、現在の制度には当てはまらない。
出典:FIFA公式のトロフィー規定・保管ルール。
【盗難事件の真相】1966年の犬の発見と1983年の失踪
ワールドカップトロフィーの歴史には、世界的なスポーツ大会の象徴が盗まれるという、信じがたい事件が2度登場する。ただし、2つの事件は同じトロフィーに関係していても、結末は大きく異なる。
1966年:盗まれた初代を犬のピクルスが発見
1966年3月、イングランドで展示されていたジュール・リメ・トロフィーが盗まれた。ワールドカップ開幕を控えた時期の事件で、主催国にとっても大きな衝撃となった。
捜査が続くなか、3月27日、ロンドン南部で飼い主のデビッド・コーベットと散歩していた犬のピクルスが、新聞紙などに包まれた不審な包みを見つけた。中に入っていたのが、行方不明になっていたトロフィーだった。
この出来事によってピクルスは一躍有名になった。盗難からわずか7日ほどで原本が発見され、同年のイングランド大会を前にトロフィーは戻ってきた。
ただし、犬が見つけたという劇的な結末は、1966年の事件に限られる。後述する1983年の事件では、同じような奇跡は起きなかった。
1983年:ブラジルで盗まれた原本は今も未発見
初代トロフィーはブラジルが永久保持したあと、ブラジルサッカー連盟の施設で保管・展示されていた。しかし、1983年12月、リオデジャネイロにある同連盟の本部から盗まれた。
この事件では、トロフィーの原本は現在に至るまで発見されていない。金を取り出すために溶かされたという説が広く伝えられているが、原本の行方を確定できる物証はなく、溶解が確認された事実として扱うことはできない。
ここで押さえておきたいのは、2014年に発見されたのはトロフィー本体ではなく、初代の台座部分だったという点だ。
FIFAミュージアムの資料によると、長らく所在不明と思われていたアベル・ラフルール制作の台座は、FIFAのアーカイブを詳しく調べた際に棚の上から発見された。現在は、初代トロフィーの歴史を伝える貴重な資料となっている。
つまり、「盗難されたジュール・リメ・トロフィーが発見された」という話は正確ではない。発見されたのは台座であり、トロフィー本体は未発見のままだ。
2つの事件を時系列で整理
3月
ロンドンで盗難、7日後に発見
展示中の初代トロフィーが盗まれ、犬のピクルスが包みを発見。原本は大会前に戻された。
大会後
ブラジルが初代を永久保持
3度目の優勝によって当時の規定を満たし、初代トロフィーを保有する権利を得た。
12月
ブラジルで再び盗難
ブラジルサッカー連盟の施設から原本が盗まれ、現在まで未発見。溶解説はあるが、確定した結末ではない。
アーカイブ
初代の台座を発見
FIFAのアーカイブから台座部分が見つかった。盗まれたトロフィー本体が見つかったわけではない。
出典:FIFA公式の歴史資料、FIFAミュージアム、BBCの1966年事件に関する報道。
【本物の見分け方と保管ルール】優勝国が持ち帰るトロフィーとの違い
テレビ中継では、優勝したキャプテンが黄金のトロフィーを掲げる。映像だけを見ると、選手がそのまま原本を自国へ持ち帰るように見えるが、実際にはFIFAが定めた管理手順がある。
写真だけで本物を見分けられる?
一般の観客が、色や形だけで原本と大会別トロフィーを確実に見分けるのは難しい。
両者は外観が似ている一方、素材や管理上の位置づけが異なる。原本は18金製でFIFAが管理する。優勝国に贈られる大会別トロフィーは金メッキ仕様で、優勝の記念として保管される。
本物かどうかを判断するときは、次の点を確認したい。
- 公式行事かどうか: 原本は決勝の表彰式やFIFAが認める公式イベントなど、限られた機会に登場する。
- 誰が管理しているか: 原本はFIFAの管理下にあり、優勝国が自由に売買・保管するものではない。
- 刻印や説明の内容: 大会年、開催国、優勝国などの情報だけで、一般の人が原本と複製品を断定することはできない。
- 展示の来歴: 公式イベントやFIFAミュージアムなど、管理元が明確な場所での展示かどうかが重要になる。
特に注意したいのは、ネットオークションやフリーマーケットで「本物のワールドカップトロフィー」と説明された品物を見つけても、見た目だけで真正品と判断しないことだ。大会別の公式トロフィー、展示用の複製品、レプリカなどが混同される可能性がある。
原本に触れられる人は限られている
FIFAの規定では、原本を手にしたり触れたりできる人は厳しく制限されている。歴代ワールドカップ優勝者、FIFA会長、国家元首などがその代表例だ。
これは単なる演出ではない。世界的な価値を持つトロフィーの安全を確保し、歴史的な象徴としての価値を守るための管理措置でもある。
優勝セレモニーで原本が選手の手に渡るのは、特別に認められた場面だからこそ実現する。大会が終われば原本はFIFA側へ戻り、優勝国には大会別のウィナーズトロフィーが残る。
コカ・コーラ FIFAワールドカップトロフィーツアーとは
原本を一般のファンが目にできる貴重な機会が、「コカ・コーラ FIFAワールドカップトロフィーツアー」だ。
このツアーは、FIFAとコカ・コーラが協力して原本を各地で公開する取り組み。2006年のドイツ大会に先立って行われた第1回ツアーでは、1月から4月にかけて世界28か国・31か所を巡った。
2026年大会に向けたツアーでは、北米の開催3か国で38か所を訪問する計画が実施され、開催都市16か所に加えて22の市場にも立ち寄った。FIFAの発表によると、ツアーは20周年を迎え、これまでに182の市場で400万人以上のファンが参加している。
原本を見られるイベントは、一般の人がトロフィーを自由に触ったり持ち上げたりできる場ではない。公式ツアーで公開されることと、原本の管理権が一般に開放されることは別なのだ。
出典:FIFA公式のトロフィー管理規定、2026年ツアー発表資料。
【台座の名前は何チーム?】2026年大会後の刻印と歴代記録
現行トロフィーの台座部分には、1974年以降のワールドカップ優勝国と優勝年が刻まれている。ここは、トロフィーの歴史が積み重なっていく場所でもある。
FIFAの2022年大会関連資料では、当時までに現行トロフィーが12回授与されており、台座には12大会分の優勝記録が刻まれていると説明されていた。
その後、2026年大会でスペインが優勝した。1974年から2026年までの大会数を数えると、現行トロフィーの授与は合計14回となる。したがって、2026年大会までの歴代記録は14大会分であり、同じ国が複数回優勝した場合も、それぞれの大会の記録として扱われる。
刻印は「国の数」ではなく「優勝した大会の記録」
台座の名前について誤解しやすいのは、刻印の数を、優勝経験のある国の数と考えてしまうことだ。
実際には、同じ国が複数回優勝すれば、その年ごとに記録が残る。例えば、スペインは2010年と2026年に優勝しているため、現行トロフィーの歴代記録では2回分に該当する。
また、台座の刻印は単なる装飾ではない。1974年以降の優勝の歴史を、トロフィー自体に記録していく役割を持っている。歴代優勝国を確認する際は、初代トロフィー時代と現行トロフィー時代を分けると、数字の混乱を避けられる。
なお、2022年大会時点の「12回」という数字と、2026年大会までの「14回」という数字は矛盾ではない。大会が進むごとに、現行トロフィーの授与回数が増えているためだ。
出典:FIFA公式のトロフィー史・2022年大会の統計・2026年大会の結果。
【ワールドカップトロフィー】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ワールドカップトロフィーの正式名称は何ですか?
A1:現在使われているものは「FIFAワールドカップトロフィー(FIFA World Cup Trophy)」です。1930年から1970年まで使われた初代は「ジュール・リメ・トロフィー」と呼ばれ、現行モデルとは別のトロフィーです。
Q2:ワールドカップで優勝した国は本物を持ち帰れますか?
A2:原本を永久に持ち帰ることはできません。原本はFIFAが所有・管理し、決勝後の表彰式などで一時的に授与されます。優勝国には、金メッキ仕様の大会別ウィナーズトロフィーが贈られます。
Q3:ワールドカップトロフィーの値段はいくらですか?
A3:FIFAは原本の公式販売価格を公表していません。LSEG Metals Researchは2026年6月、金の素材価値を約71万3,000米ドルと試算していますが、これは売買価格や公式査定額ではありません。歴史的・文化的価値まで含めた推定額とは区別する必要があります。
Q4:ブラジルが初代トロフィーを永久保持できたのはなぜですか?
A4:当時の規定では、ワールドカップで3回優勝した国が初代トロフィーを永久保持できました。ブラジルは1958年、1962年、1970年に優勝し、3度目の優勝を達成したため、永久保持の権利を得ました。
Q5:盗まれたジュール・リメ・トロフィーは発見されましたか?
A5:1966年にロンドンで盗まれた際は、犬のピクルスが7日後に発見しました。しかし、ブラジルで1983年に盗まれた原本は、現在も未発見です。2014年に発見されたのは初代の台座部分であり、トロフィー本体ではありません。
Q6:2026年大会後、台座には何大会分の名前が刻まれていますか?
A6:1974年から2026年までの現行トロフィーの授与回数は14回です。2022年大会時点では12回だったため、2026年大会のスペインの優勝記録を含めると14大会分になります。これは14か国という意味ではなく、優勝した大会ごとの記録です。
まとめ:【プロの結論】本物の価値は金の価格だけでは測れない
ワールドカップトロフィーの歴史を理解するうえで、最も重要なのは、原本と優勝国に贈られるトロフィーを区別することだ。
現行のFIFAワールドカップトロフィーは、18金製で重さ6.175kg。素材価値は金相場によって変動するものの、公式の販売価格はなく、その価値は歴史や世界的な象徴性にも支えられている。
初代ジュール・リメ・トロフィーは、ブラジルが3度目の優勝で永久保持の権利を得た。しかし、1983年の盗難によって原本は行方不明となり、現在も発見されていない。この事件を通しても、トロフィーの所有権と保管体制が、単なる記念品の管理ではないことが分かる。
2026年大会ではスペインが新たな優勝国として歴史に名を刻んだ。台座に刻まれる優勝記録は、過去の勝者と新たな王者をつなぐ歴史そのものだ。
【プロの結論】 ワールドカップトロフィーを調べる際は、①初代と現行モデルの違い、②原本と大会別トロフィーの所有権、③素材価値と推定評価額の違い、④盗難事件で確認された事実と未解明の部分、という4つの観点を押さえたい。これらを区別すれば、値段や本物の持ち帰り、ブラジルの永久保持、台座の刻印をめぐる疑問も、歴史と現在のルールに沿って理解できる。 (出典: ワールド カップ トロフィー(Yahoo!ニュース))